ブラック・ジャック回想録 第1章 立役者

2020.06.27

ブラック・ジャック回想録 第1章 立役者

歌劇「ブラック・ジャック~時をめぐる3章~」は、2015年8月30日にアクトシティ浜松大ホールで開催された、浜松市民オペラ第7回の作品である(世界初演)。
原作はもちろんあの手塚治虫のマンガ「ブラック・ジャック」。そのストーリーの中から「時」をテーマに3作を選んでオペラ化した。
作曲は宮川彬良氏、通称アキラさんだ。

なんともう5年も経ってしまったのだが、いくつかの歌は今でも口ずさめるほど、このオペラは強烈な印象を残した。本当に再演が待ち望まれる作品だ。

「オペラ」という言葉から思い浮かぶものは何だろうか?

大きなコンサートホールの舞台の上で美しい衣装をまとって歌う人たち、あとはせいぜいその足もとで演奏するオーケストラぐらいか。

では歌手とオケがいれば、オペラは成立するか?
否、とんでもない!

その裏で、行政などのスポンサーや、作曲・振付などの専門家、舞台技術者など膨大な数の組織・人々が関わって、オペラはようやく成立するものなのである。費用は莫大、歌手を集めるのだって、容易なことではない。

しかもそれらをただ集めれば良いというわけではなく、当然そこにはすべてを取り仕切るまとめ役、調整役が必要だ。

このオペラ公演成功の立役者は誰かと聞かれたら、私は市民オペラ事務局を務められた浜松市文化振興財団の村木氏(現 クリエート浜松館長)であると断言できる。

もともとは剣道一筋、音楽とは全く縁のなかったところから、仕事での縁をきっかけにアキラさんの音楽に惚れこみ、本人を説得して作曲を依頼し、関係各位を説得して回り、このオペラの企画立案から本番までの段取り、調整の一切を仕切った村木氏。

彼がいなければ、このオペラ作品はこの世に存在していなかったと言っていい。

何がそこまで彼を駆り立てたのか。
彼はこう書いている。

「(略)・・・日本のオペラを変え、後世に残り人々に愛される作品が創れるのは・・あなたしかいないと思ったからです。・・・アキラさん。」(第7回市民オペラ プログラム制作後記より)

アキラさんのオペラを、それも浜松で作りたいという情熱、ただそれだけであった。

その情熱が多くの人を巻き込み、「ブラック・ジャックをオペラ化する」という無謀とも思えるプロジェクトを支え続けることになるのである。

(つづく)

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※ 続けて読まれたい方は下記リンクから。

  連載 『 ブラック・ジャック回想録 』

▶ 1. ブラック・ジャック回想録  序章 (2020.06.14)

▶ 2. ブラック・ジャック回想録  第1章 立役者 (2020.06.27)

▶ 3. ブラック・ジャック回想録  第2章 アキラさんと宮川家と浜松 (2020.07.07)