マイスタージンガーにまつわる思い出

2016.02.29

マイスタージンガーにまつわる思い出

今週は久しぶりの全体合奏(tutti)。
それまで数週間弦楽器と管楽器が分かれて別々に練習しており、
久しぶりのオーケストラは重みと壮大さがあった。

そんな中、練習はワーグナー作曲の楽劇『ニュルンベルグのマイスタージンガー』の第1幕前奏曲から始まった。
この曲は、学生時代から何度も何度も弾いてきた曲。
オーケストラ部に所属していた高校生のときには入学式で毎回演奏しており、この曲を弾いて新入生を迎えるというのが、
高校の伝統だった。それもあり、この曲の魅力や難しさなどは身をもって感じながら毎回演奏している。
そんなマイスタージンガーの前奏曲であるが、この曲を演奏するたびに思い出すことがある。

高校時代に入学式のために毎年通りマイスタージンガーの練習をしており、壮大に始まって順調に流れていたが、
曲が中盤を迎えたあたりで木管楽器がリズムを崩し、ジャズ風に吹き始めた。
続いて、オーボエパートをクラリネットパートが吹いたり、フルートが調を変えて吹くなど、ちょっと度が過ぎたいたずらだなと思いながら私はバイオリンを弾き続けていた。
直後に案の定、指揮者は曲を止め、木管楽器の奏者たちに雷を落とそうかというタイミングで、「エイプリルフールだよー」と木管楽器の皆が口を揃えて叫び、指揮者もただただ笑うことしかできなかった。

そんな思い出がまたも蘇って、マイスタージンガーを弾くことの楽しさを改めて感じていた。

もう数えると演奏会まで10日を切っている。
自信をもって本番を迎えたいと思っている。

(S.H)