「ブラ2と来れば思い出す」

2023.11.02

「ブラ2と来れば思い出す」

ブラームスの交響曲2番は個人的にすごく思い出深い曲であります。
もう40年以上も前のことですが、晴れて大学生となった私はコントラバスを抱えて大学のオーケストラに入団しました。
コントラバスは中学生の時からの付き合いで、ベートーベンの「運命」の第3楽章がやりたくて仕方がありませんでした。
大学のオケは、初めての本格的なオーケストラという訳で、弓順とか新鮮でした。
入ったばかりで、ベートーベンの交響曲3番にをやりました。
第4楽章のコントルダンスのところは、コントラバスはお休みですが、チェロはなんだか楽しそうな楽譜でした。
似たようなパートだと思っていたら、トンでもないことでチェロは美味しいところをがっちりと抱えていました。

新入生歓迎コンパはチェロと合同でチェロの先輩の下宿でやりました。
怪しいチェロの先輩方からバッハが良いだのベートーベンのソナタが良いだのと吹き込まれ、気が付けばチェロの虜でした。
そこからコントラバスとチェロの二重生活が始まりました。
サークルではコントラバスを弾き、夜ともなるとこっそりとチェロを練習し始めたのです。
そうこうするうちに大学3年目の夏はいよいよ待望の「運命」でした!
松尾葉子先生の指揮で、格別に早い第3楽章のトリオは嬉しかったです。
やはりコントラバスやってて良かった!と実感した瞬間でした。

だったんですが、その年の冬のメイン曲はなんとブラ2!
これはいけません、コントラバスを弾いている場合ではありません!
こそこそと隠れてチェロの練習をやっていましたが、今こそ表舞台に出てチェロに名乗りを挙げる時が来たのです!
たまたまチェロの人数が足らず困っていた事情も追い風となり、すんなりとチェロにパート替えができました。
実は同期には上手いベース弾きがいたので、その男に後を任せてトンズラした訳です。

そりゃあもう最高でした。第1楽章の第2主題は何とヴィオラに下を弾いてもらっているという贅沢。第2楽章では冒頭からチェロが旋律を弾きまくります。指揮は白柳先生でした。
交響曲は数々ありますが、この曲ほどチェロが表舞台で活躍する曲は無いのではないでしょうか?
こうしてまんまとチェロに鞍替えした私ですが、コントラバスに未練が無かった訳ではありません。別のアンサンブル団体では依然コントラバスを弾いていました。
そこを退団してコントラバスは卒業、だったのですが、あろうことか実は2回浜響の演奏会にコントラバスのエキストラで出演したことがありました。「パリのアメリカ人」の時と「ドボ8+ベトPf協4」の時でした。大昔の話です。
まあ今と違って「おおらか」と言うか、「いい加減」と言うべきでしょうか?
今では考えられませんが、浜響にもそんな時代があった訳です・・・・