『氷山の一角』

2024.05.27

『氷山の一角』

“浜響”千夜一夜物語

〜第7夜〜
『氷山の一角』

今週は田尻先生をお迎えして、シェエラザードの練習でした。
田尻先生は、曲のイメージや弾き方を適格な比喩で伝えてくださり、団員一人ひとりの進む音楽の方向を揃えてくださいます。羅針盤的な役割ですね。

さて、作曲者のリムスキーコルサコフは水兵として航海の経験があったことから、今回演奏するシェエラザードでも、様々な場面で「波」を表現したテーマが現れます。
斯く言う私(Cl 2nd)も、1楽章で波のテーマがあり、「波ってどうやって表現すればええの?(関西弁)」と考える日々です。

海水浴で海に入るとわかりますが、波が来る時って、必ずその前に海の底面が動くんですよね。
演奏も同じで、波のテーマを波っぽく聞こえさせるには、そのまま楽譜の表面をなぞるのではなく、事前にどういう身体のコントロールをして、どういう息の圧力・量にすれば波ができるか逆算して準備することが大切だと思い、試行錯誤しています。

演奏会に来られるお客様は、水面上を見て、波に聞こえるか?波をイメージできるか?を判断されるわけですが、オーケストラのプレイヤーは、水面下の状況を理解して創り出す(演奏する)ことで、水面上の波を曲の進行に合わせて必然的に発生させるという役割を担っていると、シェラザードを通して改めて気付かされます。

「氷山の一角」という言葉があります。
物事全体のうち、目に見えているのはほんの一部分であることを表す言葉ですが、音楽も同じなのかもしれません。

(Cl 2ndの関西人)