2023.03.13
モーツァルト 「フィガロの結婚」
今回は、第94回定期演奏会で演奏するオペラ曲のうち、モーツァルト作曲「フィガロの結婚」について紹介します。
舞台はスペインのセビリア、伯爵の従者フィガロとその婚約者である侍女のスザンナが主人公で、スザンナを我がものにしようとする伯爵の謀略を2人が伯爵夫人とともに打ち砕いていくというストーリーです。今回の演奏会で取り上げるのは、序曲と、伯爵夫人のアリア “Dove sono i bei momenti” です。
「フィガロの結婚」の序曲は、聴いたことがある方も多いのではないでしょうか。冒頭のざわめきのようなパッセージは、静かながらもこれから始まる物語への高揚感を感じさせます。この部分は、八分音符で動くせわしない音型をピアニッシモで演奏しなければならないため、演奏者としてはなかなかの難所です。ヴァイオリンパートの私にとってもここは大変な部分ですが、ヴァイオリンと全く同じパッセージを演奏しなければならない低弦やファゴットの方々の苦労を考えると頭が下がるばかりです。
伯爵夫人のアリア “Dove sono i bei momenti” では、伯爵夫人が、夫である伯爵の浮気によって失われてしまった愛情について歌います。美しい長調の響きの中に、戻らない幸せな日々を追憶する伯爵夫人の哀しみを感じさせられます。「一途な愛で、伯爵が心を入れ替えてくれるかもしれない」という一縷の望みを歌い上げ、アリアは終わります。
オペラのあらすじを知っておくと、今回の演奏会もより一層楽しめるかと思います。
Vn T.H.
写真:パブリック・ドメイン:Wikipediaより
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