2025.10.31
浜響チェロトップはどんな人?
弦楽器のトップ(首席奏者)がステージのどこに座っているか、ご存知ですか?
各パート、一番前の席に注目してみましょう。でも、二人ずつ座っていますよね。
客席から見て左のパート(バイオリン)は指揮者から見て左側、右のパート(チェロ、ビオラ、コントラバス)は指揮者から見て右側、つまりより客席に近い側にトップがいるのが一般的です※。
浜響では、チェロトップのNくんは指揮者から見て左側に座っています。だから事情をよく知らない指揮者の場合、隣の人(トップサイド)がトップと間違われることが時々あります。なぜ左側なのか、理由は正直あまりよく分からないのですが、隣に座るといつもと逆になるので、楽譜がややめくりにくいのが難点です。
どんな曲でも、超目立つどソロでも、難なく弾きこなしてしまう凄腕のNくんですが、彼がこよなく愛しているのが、第99回のメイン、交響曲第12番「1917年」を作曲したショスタコーヴィッチ。
「僕、大好きなんですよ!」と、練習の時もこぶしを握り締めて語りかけてきます。
・・・うん、知ってる。だってこの曲の練習になると、全身に「好き!」のオーラがにじみ出ているのが、傍目にも分かるほどだもんね。
1917年は、ロシア革命が起こった年。交響曲第12番は、この1年間に起きた出来事が題材となっています。
Nくんはこの曲に取り組むにあたり、何冊もの文献にあたったそうで、今回のプログラムの曲目解説も担当しています。
「(楽譜を指さして)・・・ここは巡洋艦アヴローラが砲撃をして、みんなで向かって行くぞ!というところなんですよ(・・・以下長すぎて略)」
普段はどちらかというと内向きというか、寡黙なNくんですが、自分が好きなことや面白いと思ったことになると、急にびっくりするほどの熱量で滔々と語り始めるので、・・・あ、これはこのまま休憩時間終わっちゃうパターンだな・・・と思いつつも、こちらも思わずひきこまれてしまいます。そのぐらい、知識が豊富な彼の話は、とても面白いのです。
チェロが上手なだけではなくて、こういうところも、彼の魅力なんだろうなと話を聞きながら思います。・・・まあ本当は、彼ぐらいきちんと曲の背景まで自分で勉強しないと、ダメなんですけどね。いや、それ以前にもっとうまく弾けるようにならないと・・・。
演奏会当日は、そんなNくんの熱い演奏と、彼の渾身の曲目解説をどうぞお楽しみに!
Vc AK
※楽器の配置は曲や指揮者によって変わることがあります。