ベッリーニ「清教徒」について

2023.03.09

ベッリーニ「清教徒」について

第94回定期演奏会の前半のプログラムでは、3つのオペラ曲の抜粋を演奏します。

ソリストに来ていただくのは、第5回浜響ソリスト・オーディション第一位入賞者の宮地江奈さんです。
私はオペラものをほとんどやったことがないので、今から歌合わせがとても楽しみです。

今回はベッリーニ「清教徒」についてお話しします。
「清教徒」は17世紀のイギリスにて起こった清教徒革命(ピューリタン革命)が舞台のオペラです。

あらすじを簡単に記します。
議会派(清教徒)と王党派が対立する中、議会派の娘エルヴィーラと王党派の騎士アルトゥーロは、互いに愛し合い婚約関係にありました。しかし、アルトゥーロは議会派に幽閉されている王妃エンリケッタを救うために、エルヴィーラとの結婚が祝われている最中に逃亡します。一方、エルヴィーラはアルトゥーロが別の女性と駆け落ちしたと勘違いして正気を失ってしまいます。
やがて二人の誤解は解けて再会を喜びますが、アルトゥーロは議会派に捕まり死刑となります。しかし、死刑に処せられる直前に議会派と王党派の戦いは終わり、アルトゥーロは無事解放されます。
最後に二人は結ばれてハッピーエンドでオペラは終わります。
今回歌われるのはエルヴィーラのアリア「あなたの優しい声が」です。
これは、アルトゥーロが別の女性と駆け落ちしたと勘違いして正気を失った際に歌われます。明るい曲調とは裏腹に、オペラではエルヴィーラは狂ったようにもがきながら歌っている姿が印象的です。

歌詞を日本語にしたもが以下のサイトで紹介されていました。
http://www3.cty-net.ne.jp/~kato543/Aria/QuiLaVoceSuaSoave.htm

「ここで、あのお方の優しい声が
私を呼んでいた…でも、消えてしまった。
ここで、誠実であると彼は誓ったわ、
なのに、ひどい人、私から逃げてしまった!
ああ!もう決してここで2人が
歓喜の吐息の中で過ごすことはないのね。
ああ!私に希望を与えて下さい!
さもなくば、私を死なせて下さい。

来て下さい、愛するお方、空には月が!
あたりは何もかも沈黙し、
空に陽が昇るまでに
来て下さい、そして私の胸の上で休んで下さい。
ああ!急いで、私のアルトゥーロ、
あなたのエルヴィーラのもとに戻って下さい。
私は涙し、あなたに恋焦がれています。
愛する人よ、始めの愛に戻って来て下さい。」

なんだか切ないですね。
最後にハッピーエンドで終わることができるのが救いです。
歌合わせでどのように表現していくか、今から楽しみにしています。

Vn A.K.