北の国のラッパのビブラート

2024.02.29

北の国のラッパのビブラート

オケでチェロを45年もやっていながら何とチャイコフスキーの交響曲第5番は始めて!
大学の時にやったけど、その時はコントラバスを弾いていたので、チェロの美味しそうなメロディーはとても羨ましかったです。
この曲はいろんな意味で思い出深いのですが、今まで何故か縁がありませんでした。
高校生の時に生まれて初めてオーケストラを聞きに行ったのが、ユーリー・シモノフ指揮のボリショイ歌劇場管弦楽団でまさにチャイコフスキーのこの曲でした。(今や懐かしのはまホールでした。)
当時有名なトランペット奏者のドクシツェル氏がこの団で吹いていました。この人はテクニックばかりでなく音量も音圧も凄まじいものがありました。
しかも当時のソビエトのオーケストラのトランペットの通例で気合でビブラートを掛けていました。特に第2楽章の運命のテーマなどは親の仇のように音を揺らしていました。
まさに狂気そのもののように思えました。
今のロシアのトランペットはビブラートを掛けません。共産圏時代の象徴だったのでしょうか?指導者の誰の趣味だったのでしょうか?疑問は尽きません。
今ではビブラートの狂気を聞きたい場合は、CDなどで当時の録音を聞くしかありません。ムラビンスキーやスベトラーノフの録音では大層なビブラートを味わうことができます。

どうもこの曲の狂気に惹かれるところがあるようで、今回この曲のCDの枚数を数えてみました。すると11枚もあるじゃありませんか!
気になって有名どころを数えてみましたところ、ベートーヴェンの5番と「悲愴」が共に11枚ということで、一番多いというわけではなかったことで何故か安心しました。
そんなにこの曲が好きなのか?と再考させられました。(ちなみに一番多いのはドボ協で14枚でした・・・)
ベートーヴェンの5番や「悲愴」は素晴らしい曲で文句の付けようが無いのですが、チャイコフスキーの5番は案外文句を付ける箇所があったりします。(特に終楽章)
結局「この指揮者はいったいどこまで狂気を表現しているのか?」が気になって、ついついCDを買ってしまった訳です。
たとえばバーンスタインの最晩年のチャイコフスキーの5番は常軌を逸するルバートが怪しく深く暗いところに導いてくれるようでした。
カラヤンのEMI版はベルリン・フィルの狂ったような演奏で聞く人の心を揺さぶります。
共にトランペットがビブラートを掛けなくても狂気を表すことができるのだと感心しました。

さて今回の坂入マエストロのルバートもナカナカです。私的には、どこまでの狂気に導いてくれるのか大いに楽しみにしています。(TK)