2023.11.29
対向配置の森
第95回定期演奏会も、無事終えることができました。年末のお忙しい中、ご来場いただきました皆様に感謝申し上げます。
2年前の「夢に追いかぜコンサート」で指揮をしていただいた石川先生との再共演も叶い、嬉しく思います。浜響ソリスト・オーディションで第1位を獲得された松澤さんの弾むような演奏も大変素晴らしく、演奏後の素敵な笑顔が印象的でした(写真)。石川先生、松澤さん、ありがとうございました。
今回の定期演奏会のテーマは「森の響きにつつまれて」。
童話に出てくる広い森にはさまざまな生き物たちが暮らしていて、魔女や狼に出会ったり小人が出てきたり、物語の中でいろいろなドラマが展開されます。さまざまな楽器が集まって音楽を作り上げるオーケストラも、いわば音楽の「森」と言えるかもしれません。
ご来場のお客様にはおやっ?と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、今回はその森に少し異変がありました。いつもなら舞台に向かって右側(上手)にいるはずのコントラバスやチェロ、そしてホルンが左側(下手)へ、そしてバイオリンは1stと2ndが舞台前方で向かい合って座るという並び方で「対向配置」と呼ばれています。浜響としては珍しい配置でしたがブラームスの時代には、この並び方で演奏されることが想定されていたようです。
引っ越しや席替えなど、慣れない場所に移るのは誰でもちょっと不安になるものです。
森の中でいつもキツネさんやクマさんと一緒に暮らしていたタヌキさんが、急に小鳥さんやリスさんの住処に移ったような居心地の悪さ。でも耳を澄ませてみると、森の生き物たちの声がいつもと少し違って聞こえたり、周りを見渡すと、これまで気付かなかった景色に出会えたりすることもあります。
対向配置の森での演奏は、オーケストラの奏者にとっても発見の連続で、我々もまさに「森の響き」を体感できたように思います。
でも森の中で迷子にならずに最後まで演奏できたのは、ヘンゼルのように要所要所に、光る白い石を置いて下さった石川先生のおかげです。いつかまた共演の機会がありましたら幸いです。
次回の定期演奏会:
次回の定期演奏会は来年の3月17日(日)、「凍てつく大地に ほとばしる情熱」をテーマに、通常あまり演奏されないショスタコーヴィチのバイオリン協奏曲など、魅力満載のプログラムでお届けします。皆さま次回もどうぞお楽しみに!
Vc AK