第59回定期演奏会


指揮: 三河正典
独唱: 初鹿野 剛(バリトン)
合唱: 浜松合唱団・ 浜松フラウエンコール
曲目:
ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調「英雄」Op.55
ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
第3幕よりザックスのアリア
「迷いだ、迷いだ!」「親方たちをあなどらないで」

指揮者よりメッセージ
三河正典(みかわ・まさのり)
三河氏写真  浜響はアマチュアとはいえ非常にレベルが高いオーケストラです。今回のプログラム は苦悩のベートーベンと絢爛たるワグナーの世界という性格の違う音楽が組み合わされて います。それぞれの持っている音楽の力をどれほど見事に表現してくださるか 楽しみにしています。
プロフィール
東京芸術大学作曲科および指揮科に学ぶ。
その後、パリ・エコール・ノルマル音楽院に留学し満場一致の主席で卒業。 指揮を小林研一郎、松尾葉子、秋山和慶、河地良智、ドミニク・ルイッツの各氏に師事。 作曲を北村昭、佐藤眞、池野成の各氏に師事。これまでに日本フィルハーモニー交響楽団、 オーケストラ・アンサンブル金沢、群馬交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団など 国内各地のオーケストラに客演する他、小田原フィルハーモニー交響楽団、 湘南弦楽合奏団、VOCE・SONARE(合唱)などの指揮者を務めている。また、東京芸術大学 講師。東京音楽大学・同大学院講師。2005年9月より日本フィルハーモニー交響楽団 指揮研究員。

ドイツでの一年
初鹿野 剛(はつかの・たけし、二期会会員・バリトン)
初鹿野氏写真  今、この原稿をドイツ・ニュルンベルク 発カールスルーエ 行きの特急”Inter City” の車中で書いています。今年のドイツは冷夏(最高気温が25度程度)だと言うのに、 このICの車内は寒い程の冷房が効いていて、風邪をひきそうなほどです。昨日昼まで バイロイトに滞在、夕方にはニュルンベルクに移動、昨日と今日の午前中は ニュルンベルク市内を散策する事ができました。
そもそもバイロイトの滞在の一番の目的は「第五回ヴァーグナーの声 国際声楽コンクール」 の予選参加の為でした。予選では約50人が2組に分けられ、自分は2日目の昨日の組。 今回歌ったのは、この11月に浜響第59回定期で歌う曲の一つ、楽劇 《ニュルンベルクのマイスタージンガー》からハンス・ザックスのモノローグ、 迷いだ、至る所 迷いだ!〉。伴奏は、同時期にバイロイトで開かれる祝祭音楽祭で 音楽アシスタントとして働くビアマン氏。この曲はまるでバッハの曲の様な 対位法的音楽であり、オーケストラ声部が大変難しいのです。彼の伴奏はそれを意識して、 とても丁寧、且つ音楽的なもので、その伴奏、いや、オーケストラの元で歌う自分としても 充実した歌唱をする事が出来ました。結果は予選通過(19人)。来年の2月には ヴァーグナーが亡くなった地でもあるヴェネツィアでセミ・ファイナル(とファイナル) が行われ、そこで歌わせていただける事となりました。

昨年の3月中旬に渡独し今般の予選に至るまでのドイツでの留学生活は本当に 充実していました。月1~2回、ミュンヘンではロイブル教授の元での発声を基本とした レッスン、週1回、カールスルーエ音大のライタカー教授のレッスン、そして日々行われる 大学付属ムズィーク・テアター研修所での授業。これらのレッスンは、それまでの、 自分の持つ技術を見直すいい機会でした。また、それまでの自分の活動が主に歌曲や 宗教曲の独唱者としての活動が多く、オペラを歌う機会が多くは無かったので、 留学中はオペラのレパートリーの拡充、それに伴う発声・発音法の改善に努めたつもりです。
勿論、今回の迷いのモノローグも各先生方の指導を受けました。ロイブル教授からは 無理の無い発声でヴァーグナーの様な作品を歌うにはどうしたらいいか、 一つひとつの言葉の発音と口のフォームの関係を、ライタカー教授や研修所の コレペティトアであるヴァルツ先生やシュテッディン教授からは一つひとつの フレーズをどう作り、如何に音楽的に歌うか、テクストをどう表現するかを習いました。 いずれの先生方も丁寧に、熱心に、我慢強く教えて下さいました。

11月には、迷いのモノローグだけでなく、同じ《マイスタージンガー》から 浜松合唱団・浜松フラウエンコールの方々のご協力を得て最終シーンも演奏させて いただけるとの事。自分にとって音大生活最後のゼメスター である10月以降、 演奏会に向けて準備をしたいと思います。
演奏会開催前の実行委員長ご挨拶文 第59回定期演奏会のご案内
実行委員長・村上香織(バイオリン)

皆様方にはいつも浜響への暖かいご声援を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、今回の第59回定期演奏会では、ベートーヴェンの「英雄」をメインに演奏致します。 あまりにも有名な曲を演奏するということで、譜面をしっかり理解することから始めて 基本に忠実な練習を重ねております。
今回は指揮者に三河正典先生をお迎え致しまして、いつもよりさらに情熱的な 浜響の演奏をお聴かせできることと思います。
前半のマイスタージンガーでザックスのアリアを歌っていただきます初鹿野剛さんは すでに海外でもご活躍をされておられまして 当日は素晴らしいバリトンソロを聴かせていただけることと、 私自身も大変楽しみにしております。
浜響は来年3月に30周年を迎えます。この30年間少しずつではありますが、 私どもは確かな歩みで前進をしています。そんな浜響の姿をご覧いただいたうえで、 今後の浜響のさらなる成長のために、今回お越しいただきます皆様方よりのご意見・ ご感想などを頂戴することができましたら幸いでございます。
今後とも浜響へのご声援のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。



■主催:財団法人浜松交響楽団、浜松市、浜松市教育委員会 ■後援:財団法人浜松市文化振興財団、社団法人浜松青年会議所、静岡新聞社・静岡放送、中日新聞東海本社、K-mix、FM Haro!、テレビはままつ