2022年12月11日、第93回定期演奏会「天下のフランス音楽」を無事開催することができました。
ご来場いただいた皆様、また、浜響へのご支援をいただいている皆様、ありがとうございます。
今回はフランス出身の音楽家3名の曲をお聴きいただきました。
そして、チェロとヴィオラのダブルソリストを迎えての特別な演奏会でもあり、海老原マエストロは「まるでオペラを2曲演奏しているようだね」と仰っていました。
ラヴェルの「古風なメヌエット」、ラヴェルらしい複雑な構造で構成されています。とても古風とは思えないシンコペーションや不協和音の連続でしたが、不安定な曲想を支えてくれたのは、浜響の誇る管楽器メンバー。その独奏力が際立つ演奏を楽しんでいただけたと思います。
チェロの中木健二さんとは、12年ぶりの共演。
サン=サーンスのチェロ協奏曲は、「楽譜が台本のように見える」と仰る海老原先生のタクトにより、オペラのような物語を感じさせる演奏となりました。
しかしオペラと違い、チェリストは練習の時と本番の時と、同じ歌詞では歌いません。歌詞がよりシビアな表現に変わっていたり、あるいは優しい言い回しに変わっていたり。
心の奥底にある消えない炎が時に燃え上がり、時に冷たい光を放つような情景を、私たちオーケストラも感じ取り、共に表現できていたのではないでしょうか。
ヴィオラの鈴木康浩さんをソリストに迎えて演奏したベルリオーズ「イタリアのハロルド」。一人の男が見た風景や歩んだ人生を、そのまま体験できるような曲でした。牧歌的な風景が流れてきたと思えば、最後はベルリオーズらしさ満載の悪魔的狂乱に呑み込まれてしまいます。
その少し前、舞台脇にセットされたバンダで、鈴木さんを加えた弦楽四重奏の場面がありました。曲の途中でソリストが退場されたまま帰ってこないので、「何があったの?」とびっくりされた方も少なくないかもしれませんね。
バンダで再登場です。曲としてそういう演出なのだそう。
あのバンダは、オーケストラの乗り番とは別の、実はトップ級メンバーで構成された超豪華な四重奏団です。楽譜にすればわずか3段でしたが、遠くから聞こえる巡礼のテーマ、皆様の心にも響きましたでしょうか。
浜響はこの演奏会で、海老原先生・中木さん・鈴木さんに背を押していただき、また階段を上ることができました。
目線を高くし、常に新しい風景を、音楽の街・浜松からまたお届けしていきます!
次回演奏会は 4月9日の第94回定期演奏会です。
浜響ソリスト・オーディションで声楽部門第1位入賞したソプラノ・宮地江奈さんをお迎えします。
ぜひご来場ください。
■アンコール曲
チェロ……バッハ無伴奏チェロ組曲第1番 サラバンド
ヴィオラ……ブルッフ作曲ロマンス(※)
※ 鈴木さんのご友人が特別に編曲したVa+弦楽四重奏版
(Vn C.S)